ANDADURA

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2017.7.20

工房日誌 7/20

本日の工房

気温 34℃ 湿度 31%

エフスタイルさんの制作が終わり、通常制作に戻る。







そろそろ、革屋さんからブラウンの革が届く。
と、ブログに書き込んだ所で、革が届いた。







一枚一枚、厚みや状態を確認していく。
今回は全体的に革の仕上がりが薄い。
毎回、革の状態は違う。
どうしていくか、これから革屋さんと電話で相談する。
2017.7.20 | note

2017.7.11

磨きのこと

ANDADURAを手伝うことになり、はじめに覚えることになった行程が「磨き」という作業。
どこを磨くの?
そんな所からはじまった。

「磨き」とは、裁断したパーツの切り口をヤスリや布を使って磨き整えていく作業。
表の革をはじめ、財布内側も目に映る部分はパーツごとに磨きをかけていく。
黙々と行うこの作業は、製品作りの4割近くを占めている。
見えにくいけれど製品のクオリティに関わる基礎部分である。

「ものをつくることは、みることから始まる」

この作業に関わり始めた時に山本さんから言われた言葉だ。

「まずはつくるものをしっかりと見て。」

頭では分かるものの、「つくるもの」を見るより行程をメモしているノートを見ていた。

「ここは、二回磨くって書いてるから二回磨こう」とか。
「ここは、粗めのヤスリを使うんだ」とか。

ノートの通りにやっても、上手くいかない。
あまりにも出来なくて、簡単なパーツを時間をかけてもいいからちゃんと磨き終える練習をすることにした。

「ここはなるべく早く手を手を動かしたほうがいいかな」
「ここは実は力を入れない方がいい」

自分の身体と頭でみていく。
その作業を繰り返す。気づけばノートを見なくなった頃、はじめて「ok」が出た。

繰り返しに見える同じ作業も、革は生き物だったから一枚一枚違う。
個体差があるから、全く同じ状態ということはない。
だからこそ、メモではなくて自分の身体で見ることが必要になる。
言葉でまとめていったものの、まだまだ勉強中。

磨きの作業をすると、毎日手がインクだらけになる。
しみだらけの手に最初は落ち着かなかったけど。
寝る前にはインクのない元の手に戻っていることが、
なんだかおもしろいと思う今日この頃です。


磨きの前後



こんな道具を使っています。

2017.7.11 | ayanote

2017.7.5

工房までの道すがら

岡山の総社は梅雨らしい天気が続いている。
自宅も工房も山に近いから日に日に植物が成長していて、3月くらいから随分風景が変わったように思う
(山が近づいてきた!) 



我が家と工房までは車で10分ほどの距離がある。
山本さんはバイクで、私は車でむかうことが多い。
行く途中に、お地蔵さんがある。
岡山に引っ越してきて1年半以上過ぎたけど気がついたのは少し前のこと。

山本「気づきよった?」
私「知らなかった。」

その道は車がじゃんじゃんと走る国道だけど、お地蔵さんがある辺りをゆっくりと走る。

「あっ!いた」



毎日通る風景の中に、実は知らないことがたくさんある。
車から降りて見ると、意外に樹が大きかったことに気づいたり。
お地蔵さんがいたり。
川幅がおもったより大きかったり。

先日、岡山大学の松村圭一郎先生の「よそもの人類学者の新岡山論、カミと仏の岡山の巻」という講座をきいて。
古代から歴史のあるこの土地に、改めて興味が湧いてくる。
家から工房まででも名もなき古墳や、お宮や、お地蔵さんいて。
道すがら、遠い歴史(吉備国)の足跡を感じる。


そんなこんで、10分走ると工房に到着。



こちらのことはまた次回に。
2017.7.5 | ayanote

2017.6.30

はじめまして。

去年からANDARURAの手伝いをはじめました、山本綾乃と申します。
今までは家の隣に工房があったので、なんとなく主人の仕事は見たことがありました。
実際に関わり自分の手を動かしてみて、その難しさや細かさにびっくりしました。
今もまだ初心者マークをつけながら作業しています。

今年の4月に京都にあるロクさんでの展示にて、ANDADURA・山本の隣から
みた風景や、日常の様子をお伝え出来たらと思い文章を書かせてもらいました。
綴る中でみえてくることがあって。
私自身も書くことでまたひとつANDADURAを知るような気がしています。
2017年の折り返し日、6月最後の金曜日の今日からブログを時々更新することに
しました。


ひとつの財布をみると、それは財布でしかないけれど。
その奥にいろんな人がいて、さまざまな行程があって、たくさんの時間や、
誰かの人生があるなあと、この文を書きながら思いました。
手に取ってくださる方がいること。
使ってくださる方がいること。
販売してくださる方がいること。
とてもありがたいなあと思います。


普段は表に出ない、もしかしたらそんなに出さなくてもいいことかもしれないけど。
時々綴っていきますのでどうぞよろしくお願いします。
2017.6.30 | ayanote

2017.4.19

牛窓クラフト散歩

牛窓クラフト散歩、無事終了しました。
家を空けたのがたった3日なのに、家に戻ると山が芽吹き、違う風景になってました。
新緑の緑はいいですね。毎日うっとりです。

牛窓での展示の風景を少々




ANDADURAコーナー


ANDADURAとひとつ屋根の下だった服部謙二郎さんの美しい手織り布たち。
光の具合や天気によって、表情が変わり見飽きませんでした。
雨が降って湿度が上がると、布もしっとりとした表情になるのがビックリ。



岡山に引っ越して、近所の方々に自分の作ったモノを見て頂ける初めての機会でした。
大家さんも来てくれたし、引っ越しでお世話になった方々にも、そしてお財布を使って
頂いている方、初めて見て頂く方々。やはり作ったモノを見てもらえるのは
嬉しいものです。岡山という場所で、ようやく自己紹介が出来た感じです。

来て下さった皆さま、作り手の皆さま、大変なエネルギーをかけてクラフト散歩を
支えて下さったスタッフの皆さま、ありがとうございました。
楽しい時間でした!

そう言えば、前のブログで書いた、バカ桜。
桜の種類が違うよ、との指摘。僕がバカ山本でした。
まぁ、愛嬌という事で。
2017.4.19 | note

2017.4.10

革について

1日に2本のブログは久しぶりです。
展示会の際に様々な革を見て頂きましたが、ただ革だけより、補助のような文章が
あったほうが良かろうと、革についての文章を書きました。

革について書くのは、なかなか難しく、変に苦労話になったりしますので、
結構何度も書き直し、愛着もあるので、PCのブラックボックスに飲み込まれる前に、
こちらにアップします。


「ANDADURAの革について」



この革はANDADURAで使用している革です。
出来上がったヌメ革から、加工しANDADURAの革を作ってもらっています。

通常は半裁と呼ばれる形で仕上げますが、
ANDADURAの革は半裁を幾つかに分けて仕上げております。
表に使用する革をなるべく良い部位で使えるようにする工夫でもあり、
なるべく残さず素材を使えるようにする工夫でもあります。
革屋さんが作業しやすい革の大きさも考慮し、分ける部分を考えてます。

革の隅に、六とか七とかの数字がありますが、
これは仕上げる前の革の厚みです。
通常は後漉きといって、出来上がった革を最後に漉いて厚みを調整するのですが、
ANDADURAの革は裏面も仕上げる為、最初に漉いてから革を仕上げてゆきます。
革を仕上げる加工の段階で、革の厚みも変化していきますので、
毎回加工前の厚みを分かるようにして、データをためてゆくわけです。

こんな風に、半裁の革を分けて作ったり、数字を刻んでもらったり、裏を仕上げたり、
毎回厚みが変わったりという(手間のかかる)革づくりが出来るのは、
佐藤さんという革屋さんの存在があってこそです。

ANDADURAを初めてすぐにいろいろな革屋さんを回ったのですが、
小さなロットでも、面白がって革を作ってくれるのは佐藤さんだけでした。
佐藤さん曰く「もう一人いるよ。」との事ですが、
ANDADURAが素材から作る事が出来るのは、そんな革屋さんに出会えたからです。

革というものは、シミもあるし、傷もあります。革を作る際に汚れもつきます。
染料が入りにくい部位もある自然物です。僕はよくナマモノと呼んでいますが、
それを裁断してお財布やペンケースなどを作っています。
同じように見えても、よくよく見れば一つ一つ違う表情を持っています。

革は日々僕が向かい合っているものでもあります。
革というナマモノと出来上がったもの、共にじっくりご覧頂けたらと思います。

去年から仕事を手伝ってもらっている妻の綾乃に、『-AYANO REPORT-』と称し、
見たこと、感じた事などの記録をまとめてもらっております。
興味ある方は、そちらも合わせてご覧いただけたら幸いです。


「端革について」


こちらは、使われなかった革たちです。
端革を販売する事は今までしなかったのですが、
今回は展示会に合わせて販売致します。

展示している革のキャプションで革はナマモノと書きましたが、
端革をご覧頂く事がいちばんナマモノ感を感じて頂けるのでは、と思ったからです。

ここにある革は、革の質が悪かったり、厚みが足らなかったり、逆に厚すぎたり、
汚れてたり、など様々な理由で、使用しないと判断したものです。

端革は、いろんな時期のいろんな革が混ざっております。
革を作るにあたって、毎回作り方を微妙には変えてますが、
基本的には同じ作り方をしています。ロットによって色も違うし、質感も異なります。
さらに言えばロットが同じでも結構違ったりもします。

端革を通じて、革のナマモノ感を楽しんで頂けたら幸いです。
気に入った革がありましたら、何かに使って頂けたら嬉しいです。



京都の桜を楽しみにしておりましたが、少し時期が早く、まだ咲いてなかったのですが、
1本時期を間違えて満開になってました。こういう桜を僕はバカ桜を呼んでます。
何故か自分と重ね合わせてしまうのは、僕だけでは無いはず!
2017.4.10 | note

2017.4.10

展示会終了しました

ロクさんでの展示会無事終了しました。
展示の様子を少々。




ANDADURAで使っている革も展示しました。いつもの裁断テーブルで見るより
大きく見えました。


今回は革そのものを見てもらいたかったので、使わなかった革、端革も販売しました。


クセ革企画、その場で裁断箇所を見極めました。


ここからロクさんでの定番に加わるネイビー同色ファスナー仕様。
ファスナーひとつで印象が結構変わります。


そして、革について、端革についての文章も書きました。
これは、また後日載せようと思ってます。


ANDADURAの仕事をサポートしてもらっている妻の綾乃が、
工房で見た事などをまとめた「AYANO REPORT」
「何を書いてもいいから」と書いてもらいました。

今回の展示は一ヶ月前くらいに「そうだ、革そのものを見てもらおう。」
とピンときて、追い込み作業を進めました。
実際の製品と素材そのものを同時に見て頂きました。

活動の裏側というか、ANDADURAの日常を感じて頂けたのではと思います。
在店は2日でしたが、お財布を使って頂いている方も来て下さり、
ありがたい限りです。

嬉しい出会いも数多くあった時間でした。
ロク店主の橋本さん、お越し頂いた皆様、ありがとうございました。
これから制作するものも、ひとつひとつ制作してまいりますので、
楽しみにお待ち頂けたらと思います。

今回はせっかく関西に来たのだから、と和歌山まで足を伸ばしました。







和歌山をたくさん案内してくれた大学時代の友人のコーヒー屋さん、THE ROASTERS
オープン前に場所は見ていたけど、やっと来る事が出来ました。
和歌山の作り手さんとも沢山出会えて良い時間でした。

いつも工房にこもっている身としては、沢山の出会いが刺激的でした。
皆様ありがとうございました。

週末の牛窓クラフト散歩に向けて、また制作に励みます。
2017.4.10 | note

2017.3.12

展示会&クラフトフェアのお知らせ(サイフの日)

本日はサイフの日(3月12日でサイフ)です。僕が勝手にサイフの日に認定
してましたが、調べてみるとサイフの日になってました。なんの日もありますね、
昨今。さて、そんな日にイベントのお知らせです。

4月に展示会とクラフトフェアの出店がございます。

まずは、展示会から。

4月1日から9日まで京都のロクさんで展示会を致します。
ロクさんの7周年記念企画展です。
前回から4年ぶりの京都での展示会です。



今回はラインナップを絞り、その分糸色などを充実させて見て頂けたらと
思っております。普段は使用しないクセのある革を持っていきます。クセ革の中から
部位を選んで裁断箇所を選んで頂くということを行います。
(後日製作してのお送りになりますので、お時間頂きます。)

こちらは、在店日の1日と2日に行います。
(在店日)
・1日(土)14時半頃から19時まで。
・2日(日)11時から14時半頃まで。

先ほど書いたクセ革とは、シミやら、革の色抜けなどのある革です。
ロクの店主橋本さんが、工房にいらっしゃった際は、革の話ばっかりし
ていたように思います。実際の革はナマモノで、こんないろんな部位があるんです、と。
それが、今回のクセ革企画に繋がりました。

ANDADURAでは、キャメル、ブラウン、ネイビーの3色ありますが、
仕上がりがそれぞれ異なります。
キャメルは柔らかく仕上がるし、ネイビーは固めに仕上がる。
傾向がありますが、革によっても異なります。
ブラウンは原因不明の色抜けが起こります。
染料によって鉱物が異なるのがおそらくの原因というのが、革屋さんと僕の仮説です。
(革1枚1枚の個体差もあるので、原因を特定するのが困難です。)
職人さんとあれやこれや話しながら、試しながら革作りを行ってます。

そんなわけでクセ革はブラウンが多いのですが、クセ革の中でも良い部位を
選んで持って行きます。

今回は工房の端革も持って行きます。
端革販売はどうかなと思っておりましたが、いろんな時期の革を見て頂けるのも、
革のナマモノ感が伝わるのでは、と思いました。

なんだか最近は、革自体にスポットライトを当てたい時期なのかも知れません。
革という素材は自分自身が日々向き合っているものでもありますし、
素材そのものを見て頂くのが、革でものを作るという仕事をストレートに感じて
頂けるのでは、と思います。せっかくの展示会ですので、
できれば裏側(というか製品だけでは見えない部分)を見て頂きたいです。

展示会まで3週間を切っておりますが、裏側が見えるような工夫を
思いついたりしております。時間の許す限り、出来る事をやってゆきますね。

4月の京都、これはお越しくださいと、とても言いやすい、のが有難い。
是非お越しくださいね!


そして、クラフトフェアのお知らせです。



瀬戸内の牛窓でのクラフトフェアに参加します。
日程は4月15日(土)・16日(日)です。

ホームページ、パンフレットにはANDADURAでなく山本祐介(個人名)で載ってます。

海すぐ近くの街並みの民家をお借りして、
染織の服部謙二郎さんと同じ空間で展示させていただきます。
ひとつ屋根の下です。
服部さんとははじめましてですが、楽しみです。

心地よい4月の風と共に、是非足をお運び下さい。

工房に籠りがちですので、外に出るのとっても楽しみです。

詳細はHPにアップしておりますので、
そちらをご覧下さい。
ブログでは、思いつく事、心持ちをつれづれと書いてみました。
2017.3.12 | information

2017.1.5

この際、整合性は無視して

2017年あけましておめでとうございます。
本日から仕事初めです。コバを磨く機械を鏡餅に見立ててパシャり。



見立てられて無い気もしますが、工房にたまたまミカンがありましたので、
撮ってみました。ついでにコバを磨く機械の説明をしてみます。
上のオレンジのものが、砥石でまずはこれで荒くやすりがけをします。
そして、布にオイルを含ませて、磨き、その後、下の木バフで磨きます。
これを何回(革の厚みや状態によってことなります。)か繰り返して仕上げます。

いつも作業机の脇にあって、親近感がある機械です。

今年の抱負を書こうと思いましたが、何と言っても新作を作る!
と毎年同じことを繰り返している気がします。
僕の場合は新しいものを作るのが、一番のインプットですので、
新作を作り、新しく見えたものを次回に生かし、また新作を作る。
このサイクルを作って行きたいと思います。
通常制作と新作制作のサイクルを作るのがなかなか難しく、
少し悶々としてますが、変化を恐れず変わって行けたらと思います。

「この際、整合性は無視して。」

ってセリフがたまに口からでます。昔見た映画の中のセリフだったと思うのですが、
この際、っていうのが味わい深いです。

そんな1年にしていきたいと思います。
本年も宜しくお願い致します。
2017.1.5 | note
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