ANDADURA

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2024.4.3

card wallet

 

カバンの工房で働いていた頃の後輩からオーダーをいただいたき、財布を作りました。

そのお財布は、アメリカで使うので、ドル仕様でデザインしました。旅立ちの前にお送りするので、ひと足先に日本のサイズで制作しました。
小銭は使わず、カードとお札がおさまるお財布ということで、昔に作っていたカード財布をベースにして、今の感覚で、新たに作り直しました。
 
 
作っては眺め、作業台から、見えるところに置いておいて、気がついたら修正してを繰り返していたら、のめり込んでしまい、たくさんの試作を重ねました。
 
 
お札を入れる部分に膨らみを持たせて出し入れしやすいようにパターンを工夫しました。
カードもより入れやすいように、部分的に2mmから2.5mmのテーパーをつけ膨らみを持たせました。
 
完成したと、安心していたら、カードを取るときに、上からと下からでは親指の距離が若干違うことに気がつき、くり抜きは、センターから上に3mmずらし、視覚的にも少し軽やかになりました。
 
表から見たとき、上部が切りっぱなしなしで、さっぱりとした印象に仕上がりました。
 
昔作ったものを、今の感覚でアップデートするのは、楽しい作業です。作った当時と今の感覚の違いも感じます。今は余白を持たせたいんだなぁ、と作り直しながら感じていました。当時より、細かいところが見えるようになっているので、あぁ、少しは成長してるんだな、と感じることができました。
 
新天地に旅立つお財布ですので、なにかしらの応援になればと思いながら、デザインし直しました。
 
 
card wallet
size : w87×h98×d22 (mm)
card : ×12
 
同じような使い勝手を求められる方もいらっしゃるかと思い、online shopに アップしております。よろしければこちらからご覧ください。
 
 
2024.4.3 | information products

2024.4.2

grid & line

 
長年、取り組みたいと思いながらも、やってこなかった(というかできなかった)、装飾というテーマでopen caseを作りました。かれこれ、何年くらい自分の中にあったテーマだろうか?
 
去年の誕生日に、「憧れ」というタイトルでブログを書いたけど、それは、装飾というありかたへの憧れであった。このタネは、20代の中頃に、「シンプルさと個人になっていく社会の現象はリンクしている。」という文章を読んだときに蒔かれ、時とともに装飾への憧れに変容してきた。
 
たとえば、100年前、柱にライオンと人が彫っている建物のそばを散歩している母子がいる。
子供は問う「ねぇ、あれ何?」そうすると母は答える、「うん、あれはね」と言って物語が語られる。
 
おそらくつるんとした柱であったならば、そのやりとりは生まれない。
装飾は物語を共有(あるいは起動)する装置として存在しそれと同時に、そこに物語をよみとれる人たちがいる。
大きなものがたりの弊害のようなものがあるにしろ、動物や植物や風や、太陽や人間が織り混ざった世界の中で生きることは豊かだと思う。
 
シンプルを指向する世界では、個人は知らぬ間にさまざまなものから切り離され、物語を読み解くことも、そこに物語があるということも少しずつ忘れていくのかもしれない。
 
「シンプルさと個人になっていく社会の現象はリンクしている。」
の一文を読んだ時、僕が興味を持ったのは、じゃあ、シンプルがいくところまでいった時(それはそう遠くないように思われた、もしかしたらそれは今なのかもしれない)に、どのような形や、あり方にリアリティが宿るのだろうか?そして、人間のありようはどんな影響を与えるのだろうか?そして、そもそもその先は、どうやって探せばいいのだろうか?
 
そのシンプルの先の形に、装飾に求めるのは、いささか強引だとは自分でも思っている。
それは、形として現れるものではなく、日々の過ごし方や、人との関わり方や、言葉の使い方であったり、目に見えぬ、ささいなさまざまな事象に現れるような気がする。
 
ものだけでなく、ものとそれをつくる自分と、それに連なるさまざまなものをトータルに見てコツコツと風通しをよくしていく方が、賢明な道筋なのかもしれないと思う。
 
シンプルの先とやらを、シンプル ー 装飾という二項対立的な単純なものとして、とらえてはいやしないか?(シンプルー装飾という二項対立は素朴という言葉で統合できるけど。)
 
なんだか、話が大きくなりすぎてきた。作ったものを紹介する文章を書いているんだった。
 
 
ものをつくる人間は、感じたことを、ものとして現すことに喜びを感じ、それを作ることによって、いろいろな角度から、向き合い、考えることができる。
 
なので、いささかの強引さは、ここでは、少し目を瞑る。ものを考えるきっかけであり、そこに飛びこんでいくことなのだから。
 
僕にとって装飾は?と考えても、それは形ではないし、何かしらのモチーフでもない。
長年、取り組みたいと思いながらも出来なかったのは、装飾にたいして、自分のリアリティがまったくなかったからだ。(だから憧れていたとも言える。)
 
open caseの小さなサイズを作った時に、あっ今なら、作れるかもと思った。
 
それは、ここ1年間履いていた自分が直しになおしたズボンがあったから。
破れを補修したステッチを指先に感じる気持ちよさに、リアリティを感じることができたから。僕のリアリティは手で触れるということにあるようだ。
 
というわけで、自分の試みがうまくいっているのかどうかも分からないまま、自分が直したズボンに支えられて、ステッチを施す。
 
窓の外を眺めると、山桜がポワポワと咲きはじめていています。
 
 
 
grid & line」
 
少し柔らかな、スウェードにステッチで張りを持たせる。
間隔は、ミシンの1目の3.05mmを基調として考えてみる。
 
lineの幅は、どの幅が気持ちいいのか?
 
gridは何目であれば、open caseの形と連動してくれるのか?
 
印付けができない素材にどうやって、ステッチを入れる位置を記すのか。ステッチを入れると革が伸び、均等なステッチが入れられないのをどう解消するか?ステッチ問題に対しては、かなり原始的な方法で解決しました。
 
作りながら感じたのは、ひとりひとりがものがたり(ものがたりというかリアリティという言葉の方が適当かも)を見つけて紡いでいくんだ、ということ。装飾というテーマでしたが、自分にとって座標を消した中で、リアリティを探す旅であったように思います。
 
 
open case 
size : w188×h238(mm)
color :  light blue . chacoal ( grid & line )
 
 
 
online shopにアップしています。よろしければ、こちらからご覧ください。
 
 
2024.4.2 | products information

2024.3.14

コメル - 刻印

 

8年くらいANDADURAのお財布をお使いいただいている方から、ファスナーの修理のご依頼がありました。8年ぶりに再会したお財布には、お子さん3人の名前の刻印がありました。

修理とは別に、長男さんの大学の入学のお祝いにと、お財布に刻印を入れたい、とのご要望をいただきました。

刻印で打つ文字は、TOWEL(タオル)。タオルが手元にあると、落ち着くとのことで、長男さんが選んだ言葉。実際にTOWELの版を組み、刻印する。思いを込めた言葉を打つのは、気持ちいいなぁ。刻印を再開してみよう、という気持ちになりました。

ひとまずは、オンラインショップで、はじめてみます。

 

 

刻印のホルダーは金属加工の業者さんに「こんなの作ってください。」と図面を書いて作ってもらったものです。この道具を、また使えるのが嬉しいです。

 

 

 

 

フォントは、英字がバンハートメジウムゴシック、数字はゴウディ ボールド、
フォントサイズは4号(13.75pt)、築地活字さんの活字です。

 

刻印をご依頼いただく際は、文字の他に、言葉の理由についても、お伝えていただけたら(任意)、刻印を打つことが楽しくなり、山本が喜びます。

 

コメルはこちらからご覧ください。大切な言葉に出会えるのを楽しみにしています。

 

 

 

2024.3.14 | information

2024.3.4

open case

 

open case を新たなサイズで制作しました。

最初に作ったopen caseは、本を数冊を持ち運ぶ読者家サイズで作っています。
本1冊にスマホに財布が入るサイズがあった方が親切なのでは、と思うようになり制作いたしました。
 
前に制作したサイズのopen caseは、open case reader(読むひと)に名前を変更し、今回のサイズをopen caseという名前にいたしました。

本を数冊は持ち運ばないという方は、今回のサイズが合うかと思います。文庫・新書・単行本 + スマホ & お財布が入るサイズ感です。
 
黒の染料で染めたものですが、ネイビーのような色味のインクと、素直な革の色味のタンの2色です。
 
open case 
size : w188×h238(mm)
color :  tan . ink 
material : goat leather
 
open case - reader
size : w202×h265(mm)
color :  tan . ink 
material : goat leather
 
online shopにアップしています。よろしければ、こちらからご覧ください。
 
 
ー制作話ー

ANDADURAでは、革を使い切る工夫として、革を作る際に、部位によって切り分けて作っています。表に使う革は、繊維の細やかな部位が使える厚さで作り、繊維が少し荒い部位は切り分けて、内部パーツに使える厚さで作っています。

ただ、お腹の部位は、革を干すときに、タンニンやオイルがたまりやすく、そのため、同じ染料で染めても、色が濃くなってしまい、キャメルやブラウンなどの色は、違う色味になってしまいます。ですので、色の差の出にくい、ネイビーに回して使っていました。

全ての革のお腹部分がネイビーになるため、どうしても使いきれなくなってしまいます。
「山本さん、ネイビーのエン(お腹の部位)使いきれてる?」と革屋の佐藤さん
「いえ、なんだかんだで使いきれてないです。」と僕
「じゃあさぁ、全く作り方変えて、ソフトな仕上げにするのってどう?」
「今、open caseっての作ってまして、ソフトに仕上げて、open caseに使うのもいいかも、です。」

そして、ソフトに仕上げたエンでopen caseを作ってみる。エンは革を作る過程で少し縮み、また端っこ部分はパーツに入れたくなかったので、
少し小さめのopen caseを試しに作ることにしました。いろんなサイズを制作してみて、本1冊にスマホに財布が入るサイズがあった方が親切なのでは、と思うようになりました。
 
ソフトなエンで作ったopen caseは考えていたイメージとは少し違っていて、仕上げ方法を変えてみたり、お湯で革の銀面をふっくらと、させてみたりしましたが、着地できず。というわけで、少し小さめのopen caseは前と同じ、ゴートレザーで作りました。
 
エンが小さく仕上がったことで、違うサイズを試す良いきっかけになりました。このサイズのopen caseを見ていたら、試したいことが湧いてきました。うまく着地するかは分かりませんが、ひとまず手を動かしながら考えてみます。
 
open caseというアイテムを作るきっかけの話はこちら に書いてます。よろしければ、ご覧ください。
 
 
↑試作の1部。サイズを出すだけなのに、なぜこんなに試作したのか。完成した今となっては謎です。毎度のことですが。
 
 
2024.3.4 | information podcast

2024.3.4

\ First Rucksack colors /

 
さざなみの森さんといっしょに作った、子供たちが最初に使うファーストリュック。
実験的に1点制作した色味のもので、紹介出来ていなかった色をonline shopにアップしました。ファスナーカラーの違いで、ずいぶん印象が変わります。イメージにぴったりな色味が見つかりましたら嬉しいです。
 
First Rucksack
 
広島にあります、認定こども園さざなみの森さん一緒に作った、子供たちが最初に使うファーストリュック。さざなみの森の一角ではじまった minato: の活動として制作させていただきました。
 
リュックの色は、広島の田んぼ、岡山の田んぼを、それぞれ場所で眺めながら決めた、稲穂の垂れた秋を映す色。子どもたちへの成長の願いを込めた色です。
 
3歳から8歳くらいまで使えるサイズ感です。3歳頃はホックの開け閉めもまだ難しいので、開閉は簡単に操作できるファスナー。ファスナーの付け根には、開け閉めする動作を自分でしっかり行えるように、しっかりとした厚さを持たせた引っ張りを取り付けています。
 
肩ひもは肉厚感のある柔らかいテープ。ずり落ちないよう、肩ひもの取り付け位置も考慮しています。キーホルダー、ネームプレートなどを付ける小さいD管がついてます。minato: の織りネームは名前やメッセージを書き添えることができるよう、余白をもうけてます。
 
子どもたちに寄り添うファーストリュックになれば嬉しいです。
 
minato: 
さざなみの森の一角ではじまった さまざまなものづくりや場づくりを通して、一人ひとりが自分らしく生きていける世界へと向かう旅に寄り添う活動として、2021年に始まりました。
 
First Rucksack
size : w240×h305×d95(mm)
肩ひもの長さ:340〜540(mm)
 
First Rucksack color はこちらから  、さざなみの森さんの定番の5色はこちらからご覧ください。
 
 
【さざなみの森の風景】
 
 
2月末にさざなみの森さんにファーストリュックの納品に行ってきました。ファーストリュックをお届けするのは、今年で4度目です。
(写真は 0〜2歳の乳児のための施設、ノイエです。ノイエの一室で作業しました。)
 
 
いろいろな話をしながら、タグをつけ、整え、袋に入れて、お渡しできる状態にしました。
手を動かしながら、ゆっくりお話しできるのは、子供の成長のスピードが早い4歳児の父としても、ありがたい時間です。
 
 
 
今回も家族で伺ったので、さざなみの森さんの園庭で一緒に遊びました。園庭にある小屋では、卒園する子供たちと、河合悠さんがロウソクを作っていました。子供たちは、手作りの遊具や、トンネルや、船(本物の船!)コマ、竹馬や、紙飛行機を飛ばしたり、サッカーをしたり遊びまわっていました。
 
ゆっくりと園庭で過ごしてみて、遊んでいる子供たちが、キラキラと生き生きとしていることに、あらためてビックリしました。
トンネルの入り口にあるタイヤの隙間に潜り込み、おしゃべりをしている子、ブランコをおもいっきり漕いで天に届きそうな子、高いところからジャンプして、どやっ!と誇らしい表情を見せてくれる子。コマ回しで戦いを挑んでくる子。それぞれが、目の前にある遊びに熱中していました。
 
教室の入り口にある棚に、ファーストリュックが並んでいて、使われている風景を眺めていました。生き生きと動き回る、子供たちの使うリュックは、しっかりと使われていて、リュックとしての運命をまっとうしているかのようでした。そのクタッとして、使い込まれた姿は、作り手にとって最高の風景でした。
 
 
さざなみの森の、松井さん、菜穂さん、スタッフのみなさん、ありがとうございました。
リュックの縫製をして下さっている、Sally-ally長野さん、縫製チームのみなさま、ありがとうございました。
 
それにしても、子供たち生き生きとしていたなぁ。
 
 
 
 
2024.3.4 | information products

2023.12.22

key strap & link strap

 

あたらしく、key strapとlink strapというアイテムを作りました。

裁断して残った小さな革を使って制作する、Over the rainCowのアイテムとして、スウェードの革で作りました。

 

Over the rainCowのアイテムを作るのは、簡単なようでいて、難しいです。

ただ端革を使いましたというものにならずに、小さい革ならではのリアリティを持ったものにしたいと自分でハードルを上げている感があります。小さな革の傾向と、アイテムの選定とデザインが、いいポイントで交わり活きるようにイメージしながら考えました。
 

key holderは指にちょこんと引っ掛けて、
key strapは手首に通して持つことができます。
link strapは、カバンの持ち手と物をつなげるアイテムです。
 

【key strap】
 
 
手首に通して使える、スウェードのキーストラップです。
手に通した時に心地良いように、柔らかな革で制作しました。
 
鍵を振った時に、キャッチしやすいサイズ感です。
 
制作当初は、手首に通さず手で持つことを想定して制作していましたが、鍵を持っていて、手を使いたいシュチュエーションが多々あり、手首に通せるようにしました。
 
key strap
size : w12mm
length : 185 mm (キーリング含む)
 
key strapはこちらからご覧下さい。
 
 

【link strap】
 
 
link strapは、カバンの持ち手と物をつなげるストラップです。
カバンの中から、ストラップをひょいと引っ張って、つながっているものを取り出します。
 
鍵をつけたままで、扉の開け閉めが出来る長さで制作しました。金具はカラビナを使用していますので、金具からの取り外しも簡単にできます。
かばんの中で迷子になりがちな物とつなげてお使いください。
 
僕はこのlink strapに、小さな懐中電灯をつけて使っています。
住んでいる地域は11月頃までまむしが出ます。
街灯がないので、まむしを踏んで噛まれた話もたまに聞きます。
その話を聞いてから、夜道を歩くときは、懐中電灯で照らしていましたが、
懐中電灯が手元にないこともあり、踏んじゃうかな〜、とビクビクしながら歩いてました。
小さな懐中電灯が手元にあると、結構な安心感があります。
 
link strap
size : w15 mm
length :280 mm (カラビナ含む)
 
link strapはこちらからご覧下さい。
 
 
ー制作話ー
 
ここ最近は素材が廃盤になることが多く、ビニロンの生地が廃盤になった時に、ストック棚を眺めていて、自分は素材を(ほんとうに)大切に扱っているんだろうか?と疑問が湧く。
 
ロスがないような革の作り方をしたり、端革を使い切るアイテムを作ったり、傷を生かすアイテムも作っているけど、素材が作り続けられることを前提にした、大切さだったように思う。

なくなっていく素材との別れをとおして、素材というものが、あんがい儚い存在であると感じた。
ロスがないように工夫しているはずの革作りも、実際には余っていて、全部使えてはいない。(革の作り方も、変えることにしましたが、それはアイテムを作ったときにお話しますね。)

素材を大切に扱わないと、素材はどんどん無くなっていく、みたいな意識もある。
実際には、僕がロスを出すことと、素材がなくなることの因果関係はないのだけど、そのサイクルはどこかで繋がっていると思ってしまう。
 
この小さなアイテムが、お役に立ちますように。
 
 
2023.12.22 | information products

2023.10.16

constellation / jiji - FLAT

FLAT 
 
 

和歌山で、お洋服を作っているjijiさんと今年も一緒にカバンを作りました。

 
jijiの引網さんに、はじめてお会いした時、一緒にカバンを作りましょうと話をして、
帰りの車の中、頭の中で出来たのが、このカバンです。
 
 
引網さんから、お母さんが使っていたカバンのイメージを伝えてもらった時、
その風景に憧れのようなものを感じました。
 
少し前に読んでいた本の中で、素朴という言葉に、シンプルというルビがふっているのを目にして、ひとりで静かな衝撃を受けていました。15分くらいじっとして、その言葉が体に入っていく様子を観察していると、シンプルということばの周りについていた、いろんなものがはがれ、肩の力がどんどんぬけていくのを感じました。
 
その少し後に読んだ本で、質朴ということばに出会い、自分が学生の時から憧れていたシンプルという在り方は素朴とか質朴のようなものだったんだ。と今さらながら気がつきました。
 
去年jijiさんがFLATに書いた文章を読んでいると、「私の記憶の中から山本さんによって切り出され」ということばがありますが、FLATを作っているとき、僕が切り出したものは、憧れのようなものだったのか。そして、それは僕の憧れでもあった。
 
jijiさんの文章を読んでいると、そのことを最初から予見しているようで、根っこにある何かを共有できたことに震える。
 
 
ANDADURA 山本祐介
 
 
スエード ショルダーバッグ

私が子どもの頃 母がよく使っていた黒いスエードのカバン

それは細くて長い持ち手にマチもポケットも無いような
とても簡素なつくりのカバンだった

特にこれといったデザイン性があるわけではないのに

なぜかそれは私の記憶にずっと残っていて

いつからかそんなカバンが欲しいと思うように


ある時共通の友人を介してANDADURAの山本さんと出会い

私の記憶の中から山本さんによって切り出され 出来上がったのが

”FLAT”と名付けられたとってもシンプルなつくりのカバンです
 
jiji 引網さおり
 
 
FLAT
one handle bag
size : w220×h250 mm
shoulder length : 420mm
color : graige
 
shoulder bag
size : w180×h200 mm
shoulder length : 1050mm
color : graige
 
FLATはjijiさんのonline store よりご覧ください。
写真はjijiさんにいただきました。
Photo by Shingo Hikiami
 
HPに一緒に作るカテゴリがあり、これまで、カテゴリの名前を、一緒に散歩をしているイメージで、歩道という意味の sidewalk という言葉にしていました。
 
FLATをのせるのにあたり、星座(星のあつまり)という意味の、constellation に変更しました。共にいきることへの、ささやかな願いをこめて。
 
2023.10.16 | information products

2023.9.25

スウェードアイテムの定番カラー変更のお知らせ

 
ANDADURAは現在、グレイジュ、イエロー、グリーン、チャコール、コーラルの5色展開で、スウェードのアイテムを制作しております。ANDADURAのカラー展開を、グレイジュ、グリーンとネイビー(新たな色)の3色に変更いたします。
 
グレイジュとグリーンはこれまで通り制作いたします。HPは新たな3色に変更いたしましたが、イエロー、チャコールとコーラルはもう少し工房に在庫ございますので、ご希望ございましたらお伝え下さい。
 
 
ポーチは、少し仕様変更をしました。ファスナーのスライダーのパーツを、変更しました。頭の金具が薄くなり、よりスッキリとした印象になりました。
 
 
ここ最近は、革の色も含めカラーを絞っていますが、これまでとこれからを整理整頓をしているようです。なぜ整理整頓が必要なのかは、明確な理由は自分でも分かりませんが、感覚的に今は絞ろうと感じています。
 
そのことが、どこに向かわせてくれるのか、少し離れたところから眺めつつ、楽しみたいと思っています。つぼみが開き、また翌年には、新たなつぼみになる。そんな単純なことのような気がします。
 
整理整頓と並行し、新しいものもいくつか作っています。またお披露目できるのを楽しみにしています。
 
 
2023.9.25 | information

2023.9.21

karukuの活動について

 

 

karukuという活動を作ったのは、LGW01の別解釈を出したかったことと、open caseを出すため、またANDADURAから溢れるささやかなものの受け皿としてでした。

ANDADURAはグッと立ち上げるもので、karukuは編集的に作る。
karukuは定番ではなく、作りたいと思った時に作る。また、仕上げの方法なども違いますので、使われる方が求めるものと、すれ違いのようなことが起こるのではないかと、そんな風に考えて、ANDADURAとは分けてkarukuという名前にしました。

karukuを作った時期(構想が始まった2020年)と今とでは、状況も、自分自身の感じ方も変わってきまして、karukuとANDADURAを、分けなくてもいいかもな、という心境になってます。

定番、定番でない、と言っても素材がこれだけ廃盤になりなくなっていくのを目の当たりにしていると、定番と定番でないものを分ける線が薄くなってきているように感じます。
 
展示会でANDADURAのものと、karukuのアイテムが並んでいても、みなさんシームレスに見て下さっていると感じました。

仕上げや、作り方の目線の置きどころが違うなどの細かいことより、同じ人物から生まれたものとして、大らかに受け止めて下さっていると感じられたことは、とてもありがたい経験でした。
使って下さる方のことを信頼し、(これまでもそう思っていましたが、より、ということです。)ANDADURAに多様なものを入れる、勇気(他に言葉が見当たらなかった)が持てたように思います。そう思えたことがkarukuをやって良かったことです。

今後、karukuでやろうと思っていたことは、ANDADURAでやっていこうと思っています。karukuは少し宙ぶらりんになるかもしれませんが、karuku walletはその時に出来たものとして、そのままの形で、作りたい時に作ろうと思っています。 
 
karukuをやってみて、その分けるということを通して、自分の中の複雑なものを、そのまま出していこう、と思えるようになりました。
自分だけで思っていればいいのかもしれませんが、言葉にしておいた方がいいような気がしましたので、書いてみました。
 
 
 
 
2023.9.21 | information karuku

2023.9.15

open case

 
ブックカバーの再編集 ー open case
 
 新しくopen caseという名前で、ものを入れるケースを作りました。

オープンケースは、ブックカバーを僕なりに再編集したものです。

ANDADURAを始めてから、「ブックカバー作らないの?」
と要望をいただくことがあり、自分なりに考えてはいたのですが、いいのが生み出せずにいました。作ろうと思えば、本のサイズでカバーを作ればいいだけなのですが、自分が作る必然性を感じることが出来ない。

というのも、僕は乱読気質といいますか、何冊も同時並行で読みます。
その日にパッと目に入った本を数冊持っていくので、その都度ブックカバーをつけかえることが朝の忙しい時間には出来ません。
ブックカバーというアイテムは、1冊の本を読んだら次の1冊、という読み方が前提になっていると感じます。

 

数冊を持ち歩く人はカバーが数冊分必要なの?
さらには単行本、文庫本、新書などさまざまなサイズがありますので、各サイズごとにカバーを買ってもらわないといけないの?それってアイテムとして、作る必要があるのだろうか?分からない。

乱読気質の人間にとって、持っていく本に合わせてブックカバーを付けるという作業は至難の業です。さまざまな場所で本を読みますし、「あっ、新書のブックカバーどこにあたっけ?」とカバーを探しても見当たらず、仕方なしに、カバーなしで持って行くようになります。そして、ブックカバーは本棚の中に鎮座するようになりました。

本にはいろんなサイズがあり、さまざまな読み方がある。それらをクリアしたものでないとブックカバーは使わなくなる宿命にあると感じる。どうやったらブックカバーを作るリアリティーを見出すことが出来るんだろう?

ちなみに、手帳カバーは、ずっと付けたままですので、要望いただいたら制作していました。

そのようにして、ブックカバー作れない問題は保留になったままでした。

「ブックカバー作れますか?」
「ブックカバーって難しくて作れないんです。」
「???」
何故作れないのか?その訳を話すと長くなり伝えられないことも多く、お財布より作るの簡単そうだけどなぁ?と怪訝そうな表情に、複雑な心持ちになりました。

4年くらい前だったか、篠山に本の展示を見に行った時。
そこに並ぶ本は古本なのですが、佇まいが、すごく大切にされていている、と感じました。
その展示の帰り道。購入した本を眺めながら、この本は大切に扱わなくてはと、その場所から本を扱う姿勢のようなものもいっしょに手渡されたように感じました。

「この本たちにはカバーが必要だ。」

そのようにして長年放置してあった、ブックカバー問題にチャレンジすることにしました。普通のカバーではなく、どんなサイズの本も、いろんな読み方も受け止めてくれる。そんなカバー。
 
車を運転していて、流れる風景は、さまざまな考えを転がすのを助けてくれる。

そして、借りた本を持ち運ぶ時、クリアファイルに入れていたことを思い出す。
クリアファイルは立体のものを持ち運ぶようには出来ていないから、数日経つ頃には、かなり切ない姿になりますが、本は汚れない。

そうか、クリアファイルを作ればいいんだ、なぁんだ、簡単じゃん。と、帰りの道中には長年のブックカバー問題への自分なりの答えのようなものが見えていました。

そして、すぐに試作を作りました。
革の適度な厚みとクッション性は、ipadのような大げさなケースには入れたくないけど、少しの保護があった方がいいものを入れるのに適しているとも感じました。そのようにして、サイズ感を模索する、ワンサイズにするのか、2つサイズを作るのか?素材は何の革を使うのか?

「簡単じゃん、と言っておきながら、なんで4年も経っているの?」と思われるかもしれません。適切な素材を見つけることが出来ずにいました。出来ないのが悔しかったので、オープンケースを元にしてFlat Shoulderなどのアイテムを作りました。 (その辺りの経緯は「憧れ」というタイトルでブログに書きました。

いいかもと思える革が見つかりました。ANDADURAの革を作ってくださっている佐藤さんの作る、銀すりゴードです。ゴードは少し柔らかいのですが、自分で銀面に熱を入れ、心持ち固さを持たせました。

さて、open caseは、乱読者向けのブックカバーとしても使えますし、ipadなど少しの保護が必要なもののケースとして。その名の通りオープンになっていますので、出し入れはスムーズに行えます。

ひとまずは完成までの経緯のようなものを書いてみました。

open caseが生まれる、きっかけを下さったのは、aurora bookさんの「光を灯す時間」という展示でした。おそらくそんなきっかけを与えたであろうことは知らないと思いますので、この場でお礼をしたいと思います。ありがとうございます。みごとに灯されました。
 
「ジョン・レノン愛の遺言」は光を灯す時間で購入した本
open case reader
size : w202×h265(mm)
color : tan . ink
material : goat leather
※2024年2月末に、少し小さなopen caseを作りました。それにより、open case reader(読むひと)という名前に変更しました。
 
open caseが完成間近な頃に、読んでいた「街とその不確かな壁」を入れてみると、もう1冊入りそうで入らないもう一冊薄い本なら収まるよう、サイズを変更しました。街とその不確かな壁」のおかげでより良いサイズになったと思います。
 
 
オンラインショップにアップしました。
よろしければ、こちらからご覧ください。
 
 
2023.9.15 | information products
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