ANDADURA

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2010.7.11

迷子のススメ

夜の散歩は幻想的だ。さらに言えば、夜の迷子はさらに幻想的だ。

そんな事に気づいたのは、5年前の事。
その頃勤めていた設計会社の帰り道。
時刻は2時頃に自転車で帰宅中、突然迷子になった。
次の日の事を考えると、早く家に帰って寝なければ、と気持ちは焦っていたが。

こんな状況もそんなにある訳じゃないし、楽しもう、と思うと、夜は幻想的になった。

最近では迷子になるのも才能なのではないかと思う。
今も、迷子になって帰って来たばっかりだ。

迷子になるコツは、自分の操縦権(みたいなものがあれば)を意識から無意識にと切り替える。
そして、何も考えない頭で、数分経つと迷子になっている。なかなかこれが難しい。

夜の景色は、ロートレックが描いたパリの夜騒(たしか)のようだ。
おそらく、目が悪い事も手伝い、幻想的な世界だ。

樹木の影が、ビルに移っているのに感動し、
ブランコの座面の質感に興奮する。
しかし、人生という広大な場所においては、僕たちは迷子なのでなかろうか、
現地点を完全にマッピングする事など、出来ないし、したと思った世界は
きっと迷子にならぬ為、自分が狭めた世界だろう。

そうであるなら、僕に出来る事は、迷子を楽しむ事だけだ、
などと、全く近所の見知らぬ町で考えた。
2010.7.11 | note
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