ANDADURA

BLOG

2025.1.22

キャメルとブラウンの革について

 
ANDADURAはキャメル、ブラウン、ネイビーの3色から、ベージュとネイビーの2色に切りかえますと、お伝えしてきましたが、キャメルとブラウンの革は、今後の修理に必要な革をストックしますと、残量が少なくなりましたので、受注生産はストップし、online shopでの在庫限りで終了となります。
 
キャメルとブラウンの2色は、お財布を裁断するには、部位の見極めがあり難しいですが、キーホルダーや小さなアイテムに使うには、たくさん残っていますので、素材がなくなるまで、作っていく予定です。
 
独立当初からANDADURAを支えてくれた色に、感謝しつつ、これからのベージュとネイビーの2色もよろしくお願いいたします。
 
 
2025.1.22 | information material

2024.12.21

/ oblique /

oblique=斜め」という切り口で、小銭入れ、マチ付きポーチM、Lの3型を作りました。
 
 
cion case
size : w105×h68×d10 (mm)
material : suede
 
小銭入れ。最初にフッと作ったのは、何年前かは覚えていませんが、チャコールのスウェードで作ったこともあり、ネズミと呼んでいました。
その当時は、同系の革色に手持ちがなく、そもそもなるべく単一の素材で作りたいという意図もあり、ありもののファスナー引き手で着地させようと思っていましたが、組み合わせに納得できないこともあり、ボツにしました。今は、いくつかの革色が工房にあること、単一の素材でなくてもいいな(引き手だけ色が濃くなっていくのもいいなと思える)と思えたこと、「斜め」という切り口を得たことで、制作してみようと思いました。
このかたちは、自分でも少しよくわからない部分もありますが、ずっと気になっている存在でした。気に入っていただける方、いらっしゃいましたら嬉しいです。ネズミと言いながらも、異素材を組み合わせられることが嬉しく、ネイビーでも制作しました。
 
 
 
d pouch M
size : w162×h98×d45 (mm)
material : goat & suede
 
d pouch L
size : w220×h130×d65 (mm)
material : goat & suede
 
 
dポーチは、MとLの2サイズ制作しました。引き手は同系色の革を用い、ファスナーの生地はグレー味のあるベージュにシルバー金具です。
 
素材は、スウェードと銀すりゴードで制作しました。スウェードはチャコールとネイビー、銀すりのゴードは、ANDADURAの定番の革を作ってくださっている、佐藤さんが作っている革です。黒の染料で染めたものですが、ネイビーのような色味のインクと、素直な革の色味のタンの2色です。黒染料のインクの色味と引き手のネイビーが合うのは、同じ佐藤さんの革だから色が合うのかな?と、組み合わせられる喜びを感じました。
 
dポーチのdは、奥行きをあらわすdepthのd、日常の小物を入れることを想定して作りましたので、dにはdayも少々かかっています。
 
 
online shopにアップしています。
よろしければ、こちらからご覧ください。 
 
 
 
ー長めな制作話ー
 

手を動かしながら、新しいものを作る。

前の展示会に在店していた時に、「ポーチをスウェードではなく銀面のある革で作ってみよう」とフッと思ったので、ひとまずはそこを起点に、革屋の佐藤さんが、柔らかく仕上げてくれた革で試作してみる。
 
今あるポーチは四角いタイプなので、台形で試作する、ファスナーのパーツで間口が狭くなるので、口元を少し広げる形は試してみたいと思っていた。
そういえば、斜めの線を用いたことはあまりなかったなと、ふと思う。何度も台形の形を試みるも、斜めの線が、少々作為的すぎる。何ミリでテーパーをかけようが、作為感は消えてくれない。さて、斜めをどう扱おうか。
 
「斜め、斜め、斜め。」
 
斜めという言葉が、頭のなかに浮かぶと、ブライアン・イーノ氏が作った「oblique strategies」(直訳:斜めの戦略)というカードの名が思い出される。
このカードの愛用者(カードは手に入らないのでブラウザ版を愛用)でもあるので、「oblique strategies」と頭の中で唱える。strategies・戦略かぁ、と頭の中で「斜めの戦略、斜めの戦略」と唱える。台形で斜めを生むのではなく、結果として斜めを生むかたちの方が、戦略的でもあるし、斜めという線も楽しめそうだ。マチができると、必然的に斜めの線が生まれる。いいね。そうしてみよう。oblique strategies」という言葉に引き寄せられながら、作り方の輪郭がぼんやりと見えてくる。
 
台形ポーチはボツにして、新作墓場(ボツになった試作たちが眠る箱)行きにする。ずっと前に作ってボツにしていたマチ付きのポーチに着眼する。新作墓場から取り出して、眺め、今回の作り方では、これを起点にしてみようか。ボツにしたその頃は、素材をうまく組み合わることが出来なかったけど、今は様々な色や、素材が工房にあるので、なんとか組み合わせられるかもしれない。
 
ネズミみたいな小銭入れも、ずっと前に試作して、「なんだかよく分からないものができた。」(このアイテムもパーツの組み合わせがうまくいかなかった)とボツにしていたけど、斜めという切り口を得て再浮上。よく分からないながら、ずっと気になる存在でもあり、たまに新作墓場から取り出しては、
眺めていた。ネズミと呼んでいたので、当時試作していた、チャコールのスウェードで作ってみる。眺めて、使っても、なんだかよく分からないなぁ。と思う。しかしとても何かが気にもなる。
 
今年は、「なんとなく」という言葉に、いつもより力点を置いてみようと思っているので、出してみることにしました。
 
「なんとなく」を携えると、さまざまなものに影響されながら、フワフワと新作が作れるようで、新鮮な感覚です。そのフワフワとした作り方は、なんとも謎で、これを意識してやろうと思っても、無理なんだろうな。今回も新作墓場から多大なるサポートを受けながら完成。過去の自分よ、ありがとう。未来の自分宛に、いろいろと新作墓場へ送り込むこともできました。よし。
 
 
2024.12.21 | products

2024.10.24

小さな冊子「そ こ」

 
小さな冊子「 そ こ 」は展示会で、ものといっしょに言葉も置いておきたいと思い、tirupatiの森永夫妻と妻の綾乃といっしょに作ったものです。
 
そのほかには、ご注文いただいたお財布と一緒に送ろうと考えていました。独立したばかりの頃は、気に入った本の「ここぞ」というページをコピーし、お財布と一緒に勝手に送っていたので、これからは、自分たちで作った読み物を添えてお送りできることが嬉しい。
 
そこ、というのは、ここ と あそこ の あいだ の領域です。境界と言っていいかもしれませんが、そこに明確な線があるわけではなく、波打ち際のような、おおらかで揺らぎのある境界のイメージです。
 
その揺れ動く領域のことを頭において、冊子を作る中で、この冊子で僕自身の境界に揺らぎを与えてみるのも面白そうだと、思いはじめました。僕自身が話をしてみたい人や、なにかを共にしたいなと思う人に、この小さな読み物を送ってみるのはどうだろうか?友人や仕事の関係とは、少し違った、不思議な関係が生まれるのでは、などと夢想しました。
 
というわけで、ふっと思いついた人や、気になっている方に勝手にメッセージを送りつけたりしました。こういう仕事でもないし、遊びでもない、よく分からないイレギュラーな行為は、新鮮な気分にさせてくれる。まぁ、楽しみを見つける遊びに近いのかもしれません。冊子遊び。文通ってやったことないけど、きっとこんな楽しさなんだろうな。
 
もし、冊子遊びに、興味あられましたら、連絡いただけたらと思います。何かしらのお店などに置いていただける方で、ご興味ありましたら、冊子をお送りいたします。
 
 
 
 冊子は不定期で、発行します。印刷されて手元に届きましたら、勝手にお送りするというかたちになると思います。お送りする際は、次号も、勝手に送ることになりますので、飽きたり、合わないと思われましたら、もう送らなくていい旨、お伝えください。合う、合わないは当然あることですので、送らなくていいよ、と言われても「そうか、合わなかったのか。」と思うだけです。合わないと思いつつ送られるのは、小さなストレスかと思いますので、ご遠慮なくお伝えくださいね。
 
家づくりが終わったら、小旅行に行こうと思っています。その時に、冊子を置いてくださっている方を尋ねながら、旅するのも面白そうだなぁ、と思っています。小さな読み物ですが、面白い場所に連れていってくれそうな予感。小さな冊子だけど、いろんな遊び方があるものだ。
 
メッセージは、info@andadura.netにメールをいただくか、インスタでDMに連絡ください。楽しみに待っております。
 
 
【「そ こ」を置いてくださっているお店さん】
 
 
・青森
 
・栃木
 
・東京
 
・長野
 
・静岡
 
・京都
 
・和歌山
 
・兵庫
 
 
・広島
 
・鳥取
 
・長崎
 
 
お近くのお店さんで見かけましたら、ぜひ持ち帰ってやってください。
お送りして時間がたっている場合、お店に置いていない場合もあるかと思いますが、
細々と続けますので、どこかのタイミングで出会えますこと、楽しみにしています。
 
置いてくださっているお店さんも、改めて、ありがとうございます。
 
2024.10.24 | information そこ

2024.10.1

VW04:半長財布

 
長財布をそのまま半分に折って使う、という着想のもと、半長財布という名前のアイテムを制作しました。長財布のような使い勝手と、コンパクトなサイズ感を両立させることを目指して作りました。
 
カードを横向きで入れた際の上部の余白を使い、小銭入れスペースをもうけました。お財布を半分に折る際は、お財布を傾けて、小銭を片方に寄せる必要がありますが、小銭入れの間口が広い分、見やすく、取り出しやすい構造です。(フタの端は、小銭スペースにかぶせた構造にになっています。開き具合は写真をご参照ください。間口はおおよそ12cmです。)
 
 
小銭が寄っている側のカードが4枚、小銭がない側は6枚の計10枚のカードが収まります。
小さいながらも、しっかりと収容力のあるお財布になりました。
 
VW04・半長財布
size : w95×h88×d20 (mm)
material : vinylon
card : ×10
 
 
カバンのポケットなどに入れて使う場合は、開いたままでも使えます。お財布が2つに折れやすいよう、クセ付けして保管していますので、開いて使う方は、ご注文時に、メッセージ欄より、お伝えください。クセを取ってお送りいたします。
 
open size : w194×h88×d5 (mm)
 
 
 
制作話ー
 
 
ANDADURAのお財布を、いくつかお使いいただいている方とメッセージのやり取りをしていて、理想の財布を伝えて下さいました。
 
・ズボンの前ポケットに入る
・小さいサイズだけど、お札は折らずに入る
・カード類も取り出しやすい
・いつか出会いたい(←こういうメッセージいただくと、よっしゃ作ろうじゃないか。と思ってコソコソと作りはじめることになる。)
 
「ズボンの前ポケットに入る」という条件が微妙にはクリア出来ていないです。(前ポケットに入るは入りますが、ジーパンなんかだと、少し窮屈かもしれません。)
 
作っていく過程で、このアイテムは小さく作るより、余裕を持たせた方が合う形だと感じました。小さくしていくよりも、お札が入った際の上部の余裕などをしっかり持たせてあげること、カード容量も小さめの長財布と同じくらいおさまることを意識して作りました。僕がいつも使っているLGW11・シンプル長財布の中身をそのまま移しても、きちんと収まってくれました。小さいながらも適度な収容力のあるお財布になりました。
 
作っていて、「少し自由にものが作れるようになってきている」と感じることができたのも嬉しかった。TAKE13で完成! 
 
 
online shopにアップしております。
VW04:半長財布はこちらからご覧ください。
 
 
 
2024.10.1 | information podcast

2024.4.2

grid & line

 
長年、取り組みたいと思いながらも、やってこなかった(というかできなかった)、装飾というテーマでopen caseを作りました。かれこれ、何年くらい自分の中にあったテーマだろうか?
 
去年の誕生日に、「憧れ」というタイトルでブログを書いたけど、それは、装飾というありかたへの憧れであった。このタネは、20代の中頃に、「シンプルさと個人になっていく社会の現象はリンクしている。」という文章を読んだときに蒔かれ、時とともに装飾への憧れに変容してきた。
 
たとえば、100年前、柱にライオンと人が彫っている建物のそばを散歩している母子がいる。
子供は問う「ねぇ、あれ何?」そうすると母は答える、「うん、あれはね」と言って物語が語られる。
 
おそらくつるんとした柱であったならば、そのやりとりは生まれない。
装飾は物語を共有(あるいは起動)する装置として存在しそれと同時に、そこに物語をよみとれる人たちがいる。
大きなものがたりの弊害のようなものがあるにしろ、動物や植物や風や、太陽や人間が織り混ざった世界の中で生きることは豊かだと思う。
 
シンプルを指向する世界では、個人は知らぬ間にさまざまなものから切り離され、物語を読み解くことも、そこに物語があるということも少しずつ忘れていくのかもしれない。
 
「シンプルさと個人になっていく社会の現象はリンクしている。」
の一文を読んだ時、僕が興味を持ったのは、じゃあ、シンプルがいくところまでいった時(それはそう遠くないように思われた、もしかしたらそれは今なのかもしれない)に、どのような形や、あり方にリアリティが宿るのだろうか?そして、人間のありようはどんな影響を与えるのだろうか?そして、そもそもその先は、どうやって探せばいいのだろうか?
 
そのシンプルの先の形に、装飾に求めるのは、いささか強引だとは自分でも思っている。
それは、形として現れるものではなく、日々の過ごし方や、人との関わり方や、言葉の使い方であったり、目に見えぬ、ささいなさまざまな事象に現れるような気がする。
 
ものだけでなく、ものとそれをつくる自分と、それに連なるさまざまなものをトータルに見てコツコツと風通しをよくしていく方が、賢明な道筋なのかもしれないと思う。
 
シンプルの先とやらを、シンプル ー 装飾という二項対立的な単純なものとして、とらえてはいやしないか?(シンプルー装飾という二項対立は素朴という言葉で統合できるけど。)
 
なんだか、話が大きくなりすぎてきた。作ったものを紹介する文章を書いているんだった。
 
 
ものをつくる人間は、感じたことを、ものとして現すことに喜びを感じ、それを作ることによって、いろいろな角度から、向き合い、考えることができる。
 
なので、いささかの強引さは、ここでは、少し目を瞑る。ものを考えるきっかけであり、そこに飛びこんでいくことなのだから。
 
僕にとって装飾は?と考えても、それは形ではないし、何かしらのモチーフでもない。
長年、取り組みたいと思いながらも出来なかったのは、装飾にたいして、自分のリアリティがまったくなかったからだ。(だから憧れていたとも言える。)
 
open caseの小さなサイズを作った時に、あっ今なら、作れるかもと思った。
 
それは、ここ1年間履いていた自分が直しになおしたズボンがあったから。
破れを補修したステッチを指先に感じる気持ちよさに、リアリティを感じることができたから。僕のリアリティは手で触れるということにあるようだ。
 
というわけで、自分の試みがうまくいっているのかどうかも分からないまま、自分が直したズボンに支えられて、ステッチを施す。
 
窓の外を眺めると、山桜がポワポワと咲きはじめていています。
 
 
 
grid & line」
 
少し柔らかな、スウェードにステッチで張りを持たせる。
間隔は、ミシンの1目の3.05mmを基調として考えてみる。
 
lineの幅は、どの幅が気持ちいいのか?
 
gridは何目であれば、open caseの形と連動してくれるのか?
 
印付けができない素材にどうやって、ステッチを入れる位置を記すのか。ステッチを入れると革が伸び、均等なステッチが入れられないのをどう解消するか?ステッチ問題に対しては、かなり原始的な方法で解決しました。
 
作りながら感じたのは、ひとりひとりがものがたり(ものがたりというかリアリティという言葉の方が適当かも)を見つけて紡いでいくんだ、ということ。装飾というテーマでしたが、自分にとって座標を消した中で、リアリティを探す旅であったように思います。
 
 
open case 
size : w188×h238(mm)
color :  light blue . chacoal ( grid & line )
 
 
 
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2024.4.2 | information products
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