ANDADURA

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2024.4.2

grid & line

 
長年、取り組みたいと思いながらも、やってこなかった(というかできなかった)、装飾というテーマでopen caseを作りました。かれこれ、何年くらい自分の中にあったテーマだろうか?
 
去年の誕生日に、「憧れ」というタイトルでブログを書いたけど、それは、装飾というありかたへの憧れであった。このタネは、20代の中頃に、「シンプルさと個人になっていく社会の現象はリンクしている。」という文章を読んだときに蒔かれ、時とともに装飾への憧れに変容してきた。
 
たとえば、100年前、柱にライオンと人が彫っている建物のそばを散歩している母子がいる。
子供は問う「ねぇ、あれ何?」そうすると母は答える、「うん、あれはね」と言って物語が語られる。
 
おそらくつるんとした柱であったならば、そのやりとりは生まれない。
装飾は物語を共有(あるいは起動)する装置として存在しそれと同時に、そこに物語をよみとれる人たちがいる。
大きなものがたりの弊害のようなものがあるにしろ、動物や植物や風や、太陽や人間が織り混ざった世界の中で生きることは豊かだと思う。
 
シンプルを指向する世界では、個人は知らぬ間にさまざまなものから切り離され、物語を読み解くことも、そこに物語があるということも少しずつ忘れていくのかもしれない。
 
「シンプルさと個人になっていく社会の現象はリンクしている。」
の一文を読んだ時、僕が興味を持ったのは、じゃあ、シンプルがいくところまでいった時(それはそう遠くないように思われた、もしかしたらそれは今なのかもしれない)に、どのような形や、あり方にリアリティが宿るのだろうか?そして、人間のありようはどんな影響を与えるのだろうか?そして、そもそもその先は、どうやって探せばいいのだろうか?
 
そのシンプルの先の形に、装飾に求めるのは、いささか強引だとは自分でも思っている。
それは、形として現れるものではなく、日々の過ごし方や、人との関わり方や、言葉の使い方であったり、目に見えぬ、ささいなさまざまな事象に現れるような気がする。
 
ものだけでなく、ものとそれをつくる自分と、それに連なるさまざまなものをトータルに見てコツコツと風通しをよくしていく方が、賢明な道筋なのかもしれないと思う。
 
シンプルの先とやらを、シンプル ー 装飾という二項対立的な単純なものとして、とらえてはいやしないか?(シンプルー装飾という二項対立は素朴という言葉で統合できるけど。)
 
なんだか、話が大きくなりすぎてきた。作ったものを紹介する文章を書いているんだった。
 
 
ものをつくる人間は、感じたことを、ものとして現すことに喜びを感じ、それを作ることによって、いろいろな角度から、向き合い、考えることができる。
 
なので、いささかの強引さは、ここでは、少し目を瞑る。ものを考えるきっかけであり、そこに飛びこんでいくことなのだから。
 
僕にとって装飾は?と考えても、それは形ではないし、何かしらのモチーフでもない。
長年、取り組みたいと思いながらも出来なかったのは、装飾にたいして、自分のリアリティがまったくなかったからだ。(だから憧れていたとも言える。)
 
open caseの小さなサイズを作った時に、あっ今なら、作れるかもと思った。
 
それは、ここ1年間履いていた自分が直しになおしたズボンがあったから。
破れを補修したステッチを指先に感じる気持ちよさに、リアリティを感じることができたから。僕のリアリティは手で触れるということにあるようだ。
 
というわけで、自分の試みがうまくいっているのかどうかも分からないまま、自分が直したズボンに支えられて、ステッチを施す。
 
窓の外を眺めると、山桜がポワポワと咲きはじめていています。
 
 
 
grid & line」
 
少し柔らかな、スウェードにステッチで張りを持たせる。
間隔は、ミシンの1目の3.05mmを基調として考えてみる。
 
lineの幅は、どの幅が気持ちいいのか?
 
gridは何目であれば、open caseの形と連動してくれるのか?
 
印付けができない素材にどうやって、ステッチを入れる位置を記すのか。ステッチを入れると革が伸び、均等なステッチが入れられないのをどう解消するか?ステッチ問題に対しては、かなり原始的な方法で解決しました。
 
作りながら感じたのは、ひとりひとりがものがたり(ものがたりというかリアリティという言葉の方が適当かも)を見つけて紡いでいくんだ、ということ。装飾というテーマでしたが、自分にとって座標を消した中で、リアリティを探す旅であったように思います。
 
 
open case 
size : w188×h238(mm)
color :  light blue . chacoal ( grid & line )
 
 
 
online shopにアップしています。よろしければ、こちらからご覧ください。
 
 
2024.4.2 | information products

2024.3.4

\ First Rucksack colors /

 
さざなみの森さんといっしょに作った、子供たちが最初に使うファーストリュック。
実験的に1点制作した色味のもので、紹介出来ていなかった色をonline shopにアップしました。ファスナーカラーの違いで、ずいぶん印象が変わります。イメージにぴったりな色味が見つかりましたら嬉しいです。
 
First Rucksack
 
広島にあります、認定こども園さざなみの森さん一緒に作った、子供たちが最初に使うファーストリュック。さざなみの森の一角ではじまった minato: の活動として制作させていただきました。
 
リュックの色は、広島の田んぼ、岡山の田んぼを、それぞれ場所で眺めながら決めた、稲穂の垂れた秋を映す色。子どもたちへの成長の願いを込めた色です。
 
3歳から8歳くらいまで使えるサイズ感です。3歳頃はホックの開け閉めもまだ難しいので、開閉は簡単に操作できるファスナー。ファスナーの付け根には、開け閉めする動作を自分でしっかり行えるように、しっかりとした厚さを持たせた引っ張りを取り付けています。
 
肩ひもは肉厚感のある柔らかいテープ。ずり落ちないよう、肩ひもの取り付け位置も考慮しています。キーホルダー、ネームプレートなどを付ける小さいD管がついてます。minato: の織りネームは名前やメッセージを書き添えることができるよう、余白をもうけてます。
 
子どもたちに寄り添うファーストリュックになれば嬉しいです。
 
minato: 
さざなみの森の一角ではじまった さまざまなものづくりや場づくりを通して、一人ひとりが自分らしく生きていける世界へと向かう旅に寄り添う活動として、2021年に始まりました。
 
First Rucksack
size : w240×h305×d95(mm)
肩ひもの長さ:340〜540(mm)
 
First Rucksack color はこちらから  、さざなみの森さんの定番の5色はこちらからご覧ください。
 
 
【さざなみの森の風景】
 
 
2月末にさざなみの森さんにファーストリュックの納品に行ってきました。ファーストリュックをお届けするのは、今年で4度目です。
(写真は 0〜2歳の乳児のための施設、ノイエです。ノイエの一室で作業しました。)
 
 
いろいろな話をしながら、タグをつけ、整え、袋に入れて、お渡しできる状態にしました。
手を動かしながら、ゆっくりお話しできるのは、子供の成長のスピードが早い4歳児の父としても、ありがたい時間です。
 
 
 
今回も家族で伺ったので、さざなみの森さんの園庭で一緒に遊びました。園庭にある小屋では、卒園する子供たちと、河合悠さんがロウソクを作っていました。子供たちは、手作りの遊具や、トンネルや、船(本物の船!)コマ、竹馬や、紙飛行機を飛ばしたり、サッカーをしたり遊びまわっていました。
 
ゆっくりと園庭で過ごしてみて、遊んでいる子供たちが、キラキラと生き生きとしていることに、あらためてビックリしました。
トンネルの入り口にあるタイヤの隙間に潜り込み、おしゃべりをしている子、ブランコをおもいっきり漕いで天に届きそうな子、高いところからジャンプして、どやっ!と誇らしい表情を見せてくれる子。コマ回しで戦いを挑んでくる子。それぞれが、目の前にある遊びに熱中していました。
 
教室の入り口にある棚に、ファーストリュックが並んでいて、使われている風景を眺めていました。生き生きと動き回る、子供たちの使うリュックは、しっかりと使われていて、リュックとしての運命をまっとうしているかのようでした。そのクタッとして、使い込まれた姿は、作り手にとって最高の風景でした。
 
 
さざなみの森の、松井さん、菜穂さん、スタッフのみなさん、ありがとうございました。
リュックの縫製をして下さっている、Sally-ally長野さん、縫製チームのみなさま、ありがとうございました。
 
それにしても、子供たち生き生きとしていたなぁ。
 
 
 
 
2024.3.4 | information products

2023.12.22

key strap & link strap

 

あたらしく、key strapとlink strapというアイテムを作りました。

裁断して残った小さな革を使って制作する、Over the rainCowのアイテムとして、スウェードの革で作りました。

 

Over the rainCowのアイテムを作るのは、簡単なようでいて、難しいです。

ただ端革を使いましたというものにならずに、小さい革ならではのリアリティを持ったものにしたいと自分でハードルを上げている感があります。小さな革の傾向と、アイテムの選定とデザインが、いいポイントで交わり活きるようにイメージしながら考えました。
 

key holderは指にちょこんと引っ掛けて、
key strapは手首に通して持つことができます。
link strapは、カバンの持ち手と物をつなげるアイテムです。
 

【key strap】
 
 
手首に通して使える、スウェードのキーストラップです。
手に通した時に心地良いように、柔らかな革で制作しました。
 
鍵を振った時に、キャッチしやすいサイズ感です。
 
制作当初は、手首に通さず手で持つことを想定して制作していましたが、鍵を持っていて、手を使いたいシュチュエーションが多々あり、手首に通せるようにしました。
 
key strap
size : w12mm
length : 185 mm (キーリング含む)
 
key strapはこちらからご覧下さい。
 
 

【link strap】
 
 
link strapは、カバンの持ち手と物をつなげるストラップです。
カバンの中から、ストラップをひょいと引っ張って、つながっているものを取り出します。
 
鍵をつけたままで、扉の開け閉めが出来る長さで制作しました。金具はカラビナを使用していますので、金具からの取り外しも簡単にできます。
かばんの中で迷子になりがちな物とつなげてお使いください。
 
僕はこのlink strapに、小さな懐中電灯をつけて使っています。
住んでいる地域は11月頃までまむしが出ます。
街灯がないので、まむしを踏んで噛まれた話もたまに聞きます。
その話を聞いてから、夜道を歩くときは、懐中電灯で照らしていましたが、
懐中電灯が手元にないこともあり、踏んじゃうかな〜、とビクビクしながら歩いてました。
小さな懐中電灯が手元にあると、結構な安心感があります。
 
link strap
size : w15 mm
length :280 mm (カラビナ含む)
 
link strapはこちらからご覧下さい。
 
 
ー制作話ー
 
ここ最近は素材が廃盤になることが多く、ビニロンの生地が廃盤になった時に、ストック棚を眺めていて、自分は素材を(ほんとうに)大切に扱っているんだろうか?と疑問が湧く。
 
ロスがないような革の作り方をしたり、端革を使い切るアイテムを作ったり、傷を生かすアイテムも作っているけど、素材が作り続けられることを前提にした、大切さだったように思う。

なくなっていく素材との別れをとおして、素材というものが、あんがい儚い存在であると感じた。
ロスがないように工夫しているはずの革作りも、実際には余っていて、全部使えてはいない。(革の作り方も、変えることにしましたが、それはアイテムを作ったときにお話しますね。)

素材を大切に扱わないと、素材はどんどん無くなっていく、みたいな意識もある。
実際には、僕がロスを出すことと、素材がなくなることの因果関係はないのだけど、そのサイクルはどこかで繋がっていると思ってしまう。
 
この小さなアイテムが、お役に立ちますように。
 
 
2023.12.22 | information products

2023.10.16

constellation / jiji - FLAT

FLAT 
 
 

和歌山で、お洋服を作っているjijiさんと今年も一緒にカバンを作りました。

 
jijiの引網さんに、はじめてお会いした時、一緒にカバンを作りましょうと話をして、
帰りの車の中、頭の中で出来たのが、このカバンです。
 
 
引網さんから、お母さんが使っていたカバンのイメージを伝えてもらった時、
その風景に憧れのようなものを感じました。
 
少し前に読んでいた本の中で、素朴という言葉に、シンプルというルビがふっているのを目にして、ひとりで静かな衝撃を受けていました。15分くらいじっとして、その言葉が体に入っていく様子を観察していると、シンプルということばの周りについていた、いろんなものがはがれ、肩の力がどんどんぬけていくのを感じました。
 
その少し後に読んだ本で、質朴ということばに出会い、自分が学生の時から憧れていたシンプルという在り方は素朴とか質朴のようなものだったんだ。と今さらながら気がつきました。
 
去年jijiさんがFLATに書いた文章を読んでいると、「私の記憶の中から山本さんによって切り出され」ということばがありますが、FLATを作っているとき、僕が切り出したものは、憧れのようなものだったのか。そして、それは僕の憧れでもあった。
 
jijiさんの文章を読んでいると、そのことを最初から予見しているようで、根っこにある何かを共有できたことに震える。
 
 
ANDADURA 山本祐介
 
 
スエード ショルダーバッグ

私が子どもの頃 母がよく使っていた黒いスエードのカバン

それは細くて長い持ち手にマチもポケットも無いような
とても簡素なつくりのカバンだった

特にこれといったデザイン性があるわけではないのに

なぜかそれは私の記憶にずっと残っていて

いつからかそんなカバンが欲しいと思うように


ある時共通の友人を介してANDADURAの山本さんと出会い

私の記憶の中から山本さんによって切り出され 出来上がったのが

”FLAT”と名付けられたとってもシンプルなつくりのカバンです
 
jiji 引網さおり
 
 
FLAT
one handle bag
size : w220×h250 mm
shoulder length : 420mm
color : graige
 
shoulder bag
size : w180×h200 mm
shoulder length : 1050mm
color : graige
 
FLATはjijiさんのonline store よりご覧ください。
写真はjijiさんにいただきました。
Photo by Shingo Hikiami
 
HPに一緒に作るカテゴリがあり、これまで、カテゴリの名前を、一緒に散歩をしているイメージで、歩道という意味の sidewalk という言葉にしていました。
 
FLATをのせるのにあたり、星座(星のあつまり)という意味の、constellation に変更しました。共にいきることへの、ささやかな願いをこめて。
 
2023.10.16 | information products

2023.9.15

open case

 
ブックカバーの再編集 ー open case
 
 新しくopen caseという名前で、ものを入れるケースを作りました。

オープンケースは、ブックカバーを僕なりに再編集したものです。

ANDADURAを始めてから、「ブックカバー作らないの?」
と要望をいただくことがあり、自分なりに考えてはいたのですが、いいのが生み出せずにいました。作ろうと思えば、本のサイズでカバーを作ればいいだけなのですが、自分が作る必然性を感じることが出来ない。

というのも、僕は乱読気質といいますか、何冊も同時並行で読みます。
その日にパッと目に入った本を数冊持っていくので、その都度ブックカバーをつけかえることが朝の忙しい時間には出来ません。
ブックカバーというアイテムは、1冊の本を読んだら次の1冊、という読み方が前提になっていると感じます。

 

数冊を持ち歩く人はカバーが数冊分必要なの?
さらには単行本、文庫本、新書などさまざまなサイズがありますので、各サイズごとにカバーを買ってもらわないといけないの?それってアイテムとして、作る必要があるのだろうか?分からない。

乱読気質の人間にとって、持っていく本に合わせてブックカバーを付けるという作業は至難の業です。さまざまな場所で本を読みますし、「あっ、新書のブックカバーどこにあたっけ?」とカバーを探しても見当たらず、仕方なしに、カバーなしで持って行くようになります。そして、ブックカバーは本棚の中に鎮座するようになりました。

本にはいろんなサイズがあり、さまざまな読み方がある。それらをクリアしたものでないとブックカバーは使わなくなる宿命にあると感じる。どうやったらブックカバーを作るリアリティーを見出すことが出来るんだろう?

ちなみに、手帳カバーは、ずっと付けたままですので、要望いただいたら制作していました。

そのようにして、ブックカバー作れない問題は保留になったままでした。

「ブックカバー作れますか?」
「ブックカバーって難しくて作れないんです。」
「???」
何故作れないのか?その訳を話すと長くなり伝えられないことも多く、お財布より作るの簡単そうだけどなぁ?と怪訝そうな表情に、複雑な心持ちになりました。

4年くらい前だったか、篠山に本の展示を見に行った時。
そこに並ぶ本は古本なのですが、佇まいが、すごく大切にされていている、と感じました。
その展示の帰り道。購入した本を眺めながら、この本は大切に扱わなくてはと、その場所から本を扱う姿勢のようなものもいっしょに手渡されたように感じました。

「この本たちにはカバーが必要だ。」

そのようにして長年放置してあった、ブックカバー問題にチャレンジすることにしました。普通のカバーではなく、どんなサイズの本も、いろんな読み方も受け止めてくれる。そんなカバー。
 
車を運転していて、流れる風景は、さまざまな考えを転がすのを助けてくれる。

そして、借りた本を持ち運ぶ時、クリアファイルに入れていたことを思い出す。
クリアファイルは立体のものを持ち運ぶようには出来ていないから、数日経つ頃には、かなり切ない姿になりますが、本は汚れない。

そうか、クリアファイルを作ればいいんだ、なぁんだ、簡単じゃん。と、帰りの道中には長年のブックカバー問題への自分なりの答えのようなものが見えていました。

そして、すぐに試作を作りました。
革の適度な厚みとクッション性は、ipadのような大げさなケースには入れたくないけど、少しの保護があった方がいいものを入れるのに適しているとも感じました。そのようにして、サイズ感を模索する、ワンサイズにするのか、2つサイズを作るのか?素材は何の革を使うのか?

「簡単じゃん、と言っておきながら、なんで4年も経っているの?」と思われるかもしれません。適切な素材を見つけることが出来ずにいました。出来ないのが悔しかったので、オープンケースを元にしてFlat Shoulderなどのアイテムを作りました。 (その辺りの経緯は「憧れ」というタイトルでブログに書きました。

いいかもと思える革が見つかりました。ANDADURAの革を作ってくださっている佐藤さんの作る、銀すりゴードです。ゴードは少し柔らかいのですが、自分で銀面に熱を入れ、心持ち固さを持たせました。

さて、open caseは、乱読者向けのブックカバーとしても使えますし、ipadなど少しの保護が必要なもののケースとして。その名の通りオープンになっていますので、出し入れはスムーズに行えます。

ひとまずは完成までの経緯のようなものを書いてみました。

open caseが生まれる、きっかけを下さったのは、aurora bookさんの「光を灯す時間」という展示でした。おそらくそんなきっかけを与えたであろうことは知らないと思いますので、この場でお礼をしたいと思います。ありがとうございます。みごとに灯されました。
 
「ジョン・レノン愛の遺言」は光を灯す時間で購入した本
open case reader
size : w202×h265(mm)
color : tan . ink
material : goat leather
※2024年2月末に、少し小さなopen caseを作りました。それにより、open case reader(読むひと)という名前に変更しました。
 
open caseが完成間近な頃に、読んでいた「街とその不確かな壁」を入れてみると、もう1冊入りそうで入らないもう一冊薄い本なら収まるよう、サイズを変更しました。街とその不確かな壁」のおかげでより良いサイズになったと思います。
 
 
オンラインショップにアップしました。
よろしければ、こちらからご覧ください。
 
 
2023.9.15 | information products

2023.8.4

肌色

 

肌色の革で、お財布 & 小銭入れを制作しました。

肌色の革は、肌色を目指して作った革ではなく、ベージュの革を作る最初の頃、ベージュの色味が微妙な色味なので、最終調整は工房で行おうと思っていました。
最終調整といっても、染料を吹くわけでもなく、ただ革をつるして、陽に当てる。
革屋の佐藤さんも僕も、「最後の調色は太陽にやってもらおう」と、それでうまくいくと思っていたけど、

誤算は、岡山の南向きの日差しが強すぎたこと。
強すぎる太陽の光で、革に赤みが出てきました。

その時、思い出したのは、ここに住み始める際に、近所に挨拶に行った際に、多くの家で、カーテンが破れまくっていたこと。聞くと、日差しが強くてカーテンが破けてくるとの事。

「日光に当てても、そんなに赤みって出てこないんだけどな。」と首をかしげる(電話でしたが、首をかしげていたと思う)佐藤さんの言葉を聞きながら、そんな光景が頭に浮かぶ。

いわゆる失敗というやつだけど、数ヶ月経って革を見ると、「綺麗な肌色だな。」と思うようになりました。

ベージュの色の範囲にはおさまらなかったですが、違う色の「肌色」として制作しました。Online shopにアップしました。

岡山のびっくりするくらい強い、太陽の日差しを浴びたお財布たちです。「太陽の日差しを浴びた」ってフルーツの紹介のようですね。

色味の最終調整は太陽にやってもらう、というアイデアは、結構好きなのですが、この辺りでは難しいみたいです。何事も実験ということで、偶然に生まれた色味です。革が無くなるまで、制作します。
 
 
2023.8.4 | information products

2023.7.4

ベージュの裏面の色について

 
ベージュの革については、ほかの色と異なり、説明が必要かと思いますので、ご一読いただけたらと思います。
 
ANDADURAの革のベースは、昭南皮革のヌメ革に染料加工したものを使用しています。
昭南皮革の革は、ヌメの状態で少し赤みがあります。ベージュの色は、ベースの赤みをオリーブのような緑を含んだ色で、打ち消しあうような染め方をしています。
 
ベースの赤みは、表面にはありますが、裏面は赤みのない色味ですので、裏色はオリーブの染料の緑みがあります。
 
裏面の緑みは、不思議なことに、使っていくうちに少しづつ消えていきます。サンプルで使用した2つのお財布は、3ヶ月くらいで裏面の緑みが減ってきました。全てのお財布の裏色の緑みが消えていくかは、今のところ、断言は出来ないですが、今後、しっかり検証していきます。
 
左が使用半年のもの。裏面の緑味は消えています。ニュアンスとして残っているくらいの色です。
 
右は使用半年の経年変化です。素直に濃くなっていきます。
 
葉っぱが枯れていくような、裏色の経年変化もベージュ革の楽しさかと感じています。
 
 
2023.7.4 | information products material

2023.7.4

new color ベージュ

 
ベージュのアイテムたち、HP & online shopにアップしました。
 
ベージュの革作りは、去年の4月頃より始めました。
その1ヶ月前の3月に行った展示会で、ANDADURAのアイテムを眺めていて、
何か腑に落ちなさを少し感じました。その時はその違和感が何なのか分からぬまま、工房に戻りました。
 
「あの違和感って何なんだろう」と頭の片隅で思いながら制作していて、1週間ほどしてハッと気がつきました。「色だ!」と。そのシーズンは軽やかで明るいカラーの服などが並んでいて、その空間の中で、ブラウン系が2色というのが、少し、重く感じたのだなと。
 
かといって、定番3色で制作しているので、どういう状況でも、定番の3色をベースで展示するしかない。そういうあり方に、少し柔軟性を持たせたいと思いはじめました。
 
2色の定番色に1色の流動色であれば、ある程度はその時の自分に合った色になるのでは、そうなると、2色の定番色は、どんな流動色がきても支えてくれる色味にしたい。
 
その時に、すぐに頭に浮かんだのが、独立当初より希望していたベージュでした。
すぐに革屋の佐藤さんに連絡しました。「昭南のベースだったら赤みがあるので、いけるかも」という楽観的観測のもと、ベージュの革作りがスタートしました。
 
革屋さんに理想の色味のサンプルを送り、サンプル制作が始まりました。ひとまず、理想を伝える色味のものは、時計のベルトで、顔料染めのものでした。
染料染めでは、それとは違う色になります。染料で染められる中での理想のベージュを見つける旅が始まりました。
 
革が届き、実際に制作し、要望を伝える。そうやって、色味を希望に近づけていく。といっても染料で染められる色の幅も分からないので、「この色です」と指定することもできないので、手探りで探す。ここから始めよう、とこうやってリリースしても、ベージュの革のアイテムの写真を撮ったり、文章を書いたりと、さまざまな視点から見ることで、色の捉え方が揺らぐところもあります。ずっとサンプルを作って理想に近づけていても、その時々で理想の色味も微妙に変化していく。
 
ここから先は、実際に出してみて、革を作る回数を重ねる中で、定めて行きます。定めるといっても、その時々で変わるんですけど、ひとまずは、ここからはじめてみます。
 
あいかわらず、着地させるまでに、やたらと時間がかかる性質です。展示会で感じたささやかな違和感はベージュという色になりました。
その他の色もいくつか写真を撮り直しましたので、少し見やすくなっているかと思います。よろしければ、HPなど、ご覧いただけますと嬉しいです。
 
 
2023.7.4 | information products material

2023.6.21

over the RainCowについて

 
キーホルダーとカード&名刺ケースは、over the RainCowという名前で、西日本豪雨の際に、水に浸かった革の汚れをさけて裁断できるように考えた小さなアイテムたちです。
 
水に浸かった革は、残り少なくなりましたので、over the rainCowのアイテムは、水に浸かった革ではなく、裁断して残った小さな革を使って作りつづけます。
 
長い時間をかけて、水に濡れた革を生かすことができました。ありがとうございます。
 
over the rainCowという名前は、当初のいきさつを反映したものですが、革を使い切ってムダにしないという、方向性は同じですので、そのままにすることにしました。
 
 
パッケージは少し変えました。キーホルダーを見た方が、「∞ インフィニティーだね」と言ってくださったので、モチーフにしました。改めて、よろしくお願いします。
 
 
2023.6.21 | information products

2022.10.25

PECHKAの道具たち 

オカズデザインさんとPECHKAという名前で協働でものづくりをしました。

「感覚に寄り添う道具」を作るPECHKAのアイテムとして、ミトンとアルミパンハンドルカバー、近所の軍手工場さんとワークグローブを作りました。それぞれ紹介していきます。
 
 
 
【ミトン】
 
オカズさんから最初に投げかけをいただいたのが、ミトンです。手首もカバーし、オーブン作業でも熱を感じないミトン。
ミトンに適した革を探すことから始めました。熱を感じない革の厚みを見定める事も必要でした。熱に触れるものですので、革が縮んだり硬くなったりすることも考え形を導きました。
 
PECHKAの道具を作る時、頭の片隅にあったのは、「なる」という言葉でした。
「作る」という行為の手前に、あるいはその周辺に漂う、ものが「なる・なろうとしている」気配のようなものを、手を動かしながら探しました。

「なる」ことだけで、ものを作るには僕(人間)には意識がありすぎます。それでも、感覚に寄り添う道具になるために「なる」という動きの輪郭を感じる必要があったように思います。
と前に書きましたが、このミトンは特にそのことを意識させるものでした。
果たしてカタチになるのか?ならないのか?そんな分からない状態で手を動かしてました。
 
その分からない状態に居続ける事で、PECHKAのイメージや、他のアイテムのイメージが広がったように感じています。
 
mittens
size : 270×172 (mm)
material : goat leather
 
 
 
【ハウスミトン】
 
その名の通り、家庭で使うことを考え作ったミトンです。コンパクトで着脱しやすく、熱を感じる部分は革を2枚重ねにしています。
手の形にそうように、使う線に無理がないように、複雑にならないように全体と部分とが自然と調和していくよう方向付けをしながら、全体の形を見つけていきました。
 
house mittens
size : 172×110 (mm)
material : goat leather
 
 
 
【アルミパンハンドルカバー】
料理人の方が数多く使うアルミパン。アルミは熱伝導率が良すぎて、ハンドルが持てなくなると聞き、作ったハンドルカバーです。
熱くなったフライパンを洗う際など、トングや箸などでアルミパンを抑えるとスポッと抜ける、ゆるさを持たせた着脱しやすいサイズ感で作りました。
 
上下は同じ形状にして、どちらからでも鍋に入れられます。鍋が入りやすいよう、テーパーを持たせました。テーパーの角度は137.5度。自然界によく見られる角度です。アルミパンの形状とマッチし、調和するよう形を導きました。
 
aluminum pan handle cover 
size : 162×35 (mm)
material : cow leather
 
 
 
【グンテミトン】
 
パン職人やオーブンを多用する料理人の方は、オーブンの出し入れの際、軍手を2枚重ねて作業をするそうで、ずっと良い軍手を探していると聞きました。
ANDADURAの工房からバイクで3分のところに軍手を製造する山本手袋さんがあります。そんな偶然から生まれたのが、グンテミトンです。
 
山本手袋さんが作っている軍手をたくさん見せていただき、出来ること、出来ないことを明確にして、制作に挑みました。
オーブンの出し入れの際に、やけどしやすい手首の部分もカバーするよう長く編んでいます。着脱しやすいように、手首を広くし、手首に仕込むゴムの数も減らしました。軍手の表を綿で編み、内側の部分には、空気を含み熱が伝わりにくくするよう中空糸を使いました。中空糸はムレにくい性質もあります。
 
オーブンの出し入れなどの短い時間であれば1枚でも熱を感じにくい厚手のミトンです。
 
軍手を2枚重ねて使われている方は、手首に入っているゴムを切ったりしてアレンジして使われているとも聞きました。
そんな方の作業に寄り添うグンテミトンとなってくれたら嬉しいです。
 
料理の時だけでなく、キャンプや焚き火などの火の周りでのご使用にもピッタリかと思います。
 
 
突然の依頼に、快く応えて下さった山本手袋さんに感謝です。
山本手袋さんが作った手袋のサンプルをオカズさんに送り、実際に使っていただき、フィードバックをいただく。
僕は伝書鳩のように山本手袋さんに伝える。そうしてまたサンプルを作っていただく。山本手袋さんとオカズさんの間を何度も往復しているうちに出来たように感じました。
 
gunte mittens
 
size : 全長370mm
material : 綿 65% ポリエステル 32% ポリウレタン 3%
 
PECHKAのアイテムはカモシカさんのHPにてご覧いただけます。
 
 
少し関係のない話をします。一休さんの話です。
ある時期、一休さんが座禅を組んで、頭につばをつけ「トントントン」とやっている時、一休さんの中で何が起こっているのかが無性に気になる時がありました。
アニメの中では、その行為の説明はなかったので、気になって推察しました。
 
一休さんが「トントントン」とやるのは、決まって無理難題に出くわした時で、普段の生活では「トントントン」は出てこない。
 
一休さんは、普通の理屈では道筋を立てられないような出来事を前にし、「トントントン」とやることで違う回路を開いているのだと思いました。
普段の意識では、出来事をなにかしら判断し、意識の上で扱いますが、「トントントン」の時は出来事をそのままの、無意識の海に放り投げる。
そんな無意識の回路が開かれている一休さんなので、その無意識の海は混沌としていて、判断つかないものが、そのままの形で有象無象に蠢いている領域をキープしている(たぶん)。
 
なので、その海に、無理難題をそのまま放り込む。こうやって一休の海の中で様々な事象との化学反応が起き。「チーン」と答えらしいものが導かれる。ある種、一休さんのオートメーション機能なのだと思いました。
 
一休さんがやることは、普通の理路で導かれるかどうかを判断するだけで、導かれないのであれば、海に放り投げる。
 
この通路って、ものづくりでも使えるのではと、あれこれ考えました。
その時に会った人には、「一休さん的ものづくり」について嬉々として話していたように思います。独立してすぐ位の時、ものづくりの仕方は一休さんからヒントを得ました。
 
ただ、僕の無意識の海は一休さんほど豊穣ではないので、「チーン」となるまでには、数ヶ月や1年くらいかかったりもします。時間はかかるけど、「チーン」はやってきてくれます。
 
少し前にある方と話をしていて、「山本さんは混沌を好む」と言われました。それで、僕の中の一休の海も少しは豊穣になったのだなと感じました。
 
関係のない話をします。と言ってましたが、関係なくはなく、協働で作ることは、投げかけがやってくるという事で、一休的に作ることがしやすいのだと思います。
 
一休さんはどうやってその海を見つけることが出来たのか?という疑問は、僕の中の一休の海を漂ってます。
 
 
2022.10.25 | information products
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